泌尿器科
おしっこが出にくい・近い・時間がかかる・きれが悪い・間に合わないなどの症状に心当たりがある方。
おしっこの時や、直後に痛みがあるなどの症状に心当たりがある方は泌尿器科の病気が疑われます。
その他おしっこに関することは何でも泌尿器科でご相談いただけます。
このような症状でお悩みの方はいませんか?
- 尿が出にくい、出ない
- 尿に勢いが無い
- おしっこが近い、回数が多い
- 夜間、何度もおしっこに起きる
- 尿が残っている感じがする
- 尿が漏れる
- 尿に血が混じる
- 足がむくむ
- 腰や背中が痛む
- 腎臓の辺りが痛む
- 尿道から膿が出た
- (健診などで)血尿やたんぱく尿を指摘されたなど
肉眼的血尿
【目で見てわかる血尿】
排尿痛、頻尿、残尿感などの症状があれば、膀胱炎に伴う血尿が考えられます。
側腹部痛があれば腎結石や尿管結石が疑われます。
しかし、肉眼的血尿は膀胱癌や腎癌など尿路系の悪性腫瘍の初期症状であることがあり、この場合には痛みなどの症状を伴わないことが多いのです。また血尿は1-2回でおさまってしまうことが多く、他に症状がないからと放置しておくと知らない間に病気が進行してしまうことも考えられます。とくに40歳以上の方では悪性腫瘍に伴う血尿の可能性を考えて、できるだけ日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医を受診されるよう推奨します。泌尿器科では検尿、超音波検査でまず原因検索を行います。必要な場合には、X線検査、膀胱鏡検査などで血尿の原因を検索します。当院では苦痛の少ない軟性膀胱鏡を使用して膀胱鏡検査を行っています。
顕微鏡的血尿
【目ではわからない、尿検査ではじめてわかる血尿】
検診などで試験紙によるスクリーニング検査で尿潜血の陽性を指摘されて見つかることが多いです。尿沈渣の顕微鏡検査で赤血球が1視野あたり5個以上認められれば顕微鏡的血尿と診断されます。肉眼的血尿と同様に膀胱炎などの尿路感染症や腎結石、膀胱結石などの尿路結石症、そして膀胱癌など泌尿器科悪性腫瘍など様々な疾患が原因になりえます。また糸球体腎炎、IgA腎症、糖尿病性腎症など慢性的に進行して腎機能が悪化していく可能性のある腎疾患もあり、とくに蛋白尿をともなっている場合には要注意です。CKD(慢性腎臓病)は近年増加傾向にあるといわれ、透析を必要とする末期腎不全も増加の一途をたどっています。CKDを早期発見して生活習慣の改善(禁煙、減塩、肥満の改善など)をすることにより、また高血圧、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)があればその治療をおこなうことによって、末期腎不全に至るのを予防することも可能です。顕微鏡的血尿や蛋白尿を契機にCKDがみつかることも多いので、検尿で異常を指摘された場合には医療機関を受診して、基本的な血液検査や超音波検査などの精密検査を受けるようにしましょう。
男性泌尿器科
前立腺疾患
前立腺肥大症
【症状】
中年以降の男性では、徐々に前立腺が肥大してくることが多く、50才以上の男性の約50%に前立腺肥大症が認められます。
肥大してくる原因としては、加齢や男性ホルモンなどが影響しているといわれています。
前立腺が肥大すると、尿道が圧迫され、また前立腺内部の平滑筋が尿道を締め付けるために、おなかに力を入れないと尿がでない、尿の勢いが弱い、尿が途中で途切れるなどの排尿困難の症状がでます。
また、尿が近い、尿意を我慢しづらい、夜間睡眠中に排尿のために起きる等の膀胱の過敏状態による症状や残尿感、後漏れなど排尿後の症状もでることがあります。
これらの症状は前立腺肥大症に特有の症状ではありませんが、前立腺肥大症になると比較的多くみられる症状です。
最近尿の出かたがちょっと気になるという方は、前立腺肥大症の疑いもありますので早めに受診なさってください。
ご自分の症状をチェックするにはリンク先にある「排尿のお悩み特集」の前立腺肥大症チェックシート(IPSS)を利用されるとよいでしょう。
【診断の流れ】
初診時にはまず症状について詳しくお聞きします。
また既往症や持病、服用中のくすりなども確認いたしますので、おくすり手帳などもご持参ください。
症状から前立腺肥大症が疑われた場合には、超音波検査で前立腺の腫れ具合や膀胱の状態、場合によって腎臓の腫れがないかなどもチェックします。
膀胱に尿が十分にたまっている状態であれば、機械に向かって排尿していただいて、排尿の勢いなどを測定する尿流量測定検査をします。
肛門から指を挿入して前立腺を触診する直腸診を行う場合もあります。
以上の診察から前立腺肥大症による排尿障害であると診断がつく典型的な場合には、初診日から投薬による治療を開始します。
しかし、頻尿などが主症状の場合で、前立腺肥大症の症状とはいいきれないときには、排尿日誌を持参していただいてから治療を開始することがあります。
排尿日誌は丸1日間の排尿時刻、1回1回の排尿量などを記録していただくもので、お手数をおかけすることにはなりますが、症状の原因などを理解するのに大いに役立つものですので、ご協力をよろしくお願いいたします。
【治療のあらまし】
前立腺肥大症による排尿障害の治療は、大部分の症例では薬物治療が中心になります。
症状によっては複数のくすりを併用する場合もあります。くすりの働きと副作用などをチェックして投薬内容を調整します。投薬治療だけでなく、水分摂取や食事内容に関するアドバイスや生活指導なども同時に行って、少しでも快適な排尿状態が維持できるように協力させていただきます。もちろん手術治療がふさわしいと考えられる場合には、病状に応じた治療を受けていただけるように、連携病院をご紹介させていただきます。
前立腺癌
前立腺癌は近年増加傾向にある男性特有の癌です。
前立腺肥大症から癌に進行するわけではなく、基本的には別の病気ですが、前立腺肥大症に合併することも少なくありません。前立腺癌に特徴的な症状はなく、前立腺肥大症を合併していないかぎりは、初期の癌では症状がないのが普通です。前立腺癌は一般的には進行速度の遅い癌で、早期に発見すれば種々の治療で十分にコントロールできますから、そう過度に恐れることはありません。前立腺癌の早期発見に大変役に立つのがPSA(前立腺特異抗原)という腫瘍マーカー検査です。少量の採血をするだけで測定できますので、前立腺癌の発生が心配される50歳以上の男性は、一度はPSA検査を受けられることを推奨します。住民検診や人間ドックでもPSA検査が設定されていることが多いので、利用されるとよいでしょう。
【PSA検査で異常を指摘された場合の診療について】
検診などでPSAの高値を指摘された場合には、日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医としての知見をもとに、検査値の意味するところなどを丁寧に説明いたします。PSAが正常値4.0ng/mlを越えているからといって、それが直ちに前立腺癌を意味するわけではありません。PSAは前立腺癌と強く関連しますが、前立腺癌の場合にしか上昇しない検査ではありません。前立腺癌の細胞は多量にPSAを分泌するので、前立腺癌では値が高くなり易いのは事実です。しかし、正常な前立腺細胞も少量のPSAを分泌するので、前立腺肥大症が大きい場合や前立腺に炎症がある場合にもPSA値がある程度は上昇します。前立腺癌かどうかは、前立腺生検という検査で最終的な診断をしますが、PSA値が4.0以上である方全員が前立腺生検の検査を受けられる必要はありません。前立腺生検はある程度の苦痛を伴い、検査後の発熱など合併症の心配もありますので、十分に適応を絞って行うべき検査です。PSAが4-10程度の軽度な上昇の場合には、全員に生検をしても実際に前立腺癌が発見される確率は25-30%程度です。当院では、超音波検査による前立腺の大きさの評価や前立腺の触診といった基本診察のほか、必要な場合には前立腺MRIを連携病院で受けていただき、それらの結果から総合的に前立腺癌の可能性がどの程度あるかを詳しく説明いたします。前立腺生検をすぐに受けることを推奨する場合もありますし、PSAの再検査でしばらく経過をみることで十分と考えられる場合もあります。前立腺生検を受けていただく場合にも、患者さんご本人が納得して受けていただけるようにアドバイスいたします。
前立腺生検は、経直腸的超音波ガイド下前立腺生検という方法で行うのが一般的で、これは肛門から直腸内に挿入した棒状の超音波プローブで前立腺を観察しながら、直腸内から前立腺に向けて生検針を刺して前立腺組織を採取する検査です。前立腺の全体から万遍なく、通常は10から12箇所の組織片を採取し、それぞれの組織中に癌細胞があるかどうかを病理学的に検討します。直腸内からの生検は針を刺す痛みもそうは強くないため、外来検査として無麻酔で実施することも不可能ではありません。しかし、腰椎麻酔などの麻酔をして、痛みを緩和した状態で行う方が、適切に組織を採取でき、正確な診断につながります。この場合には2-3日の短期入院が必要ですが、検査後に起こりうる感染症や出血などの合併症にも十分な体制で対応できます。このような理由から、当院では前立腺生検はあえて行っておらず、生検が必要な場合には入院検査が可能な連携病院に紹介させていただきます。
【前立腺癌と診断された場合の診療について】
もし前立腺生検の結果で前立腺癌と診断された場合には、どのような治療法が選択できるかについて、詳しく説明やアドバイスをさせていただきます。前立腺癌の治療法には、大きく分類すると手術、放射線治療、ホルモン治療の3つの柱があります。手術、放射線治療は病気の根治をめざす治療法で、年齢が比較的若く、早期の癌の場合には、どちらかの治療を選択することになります。これに対してホルモン治療は、根治させるというよりも、癌をいわば休眠状態にしてコントロールする治療法といえます。前立腺癌の増殖に関係する男性ホルモンの産生を抑える注射薬と男性ホルモンの作用を抑制する内服薬による治療が主に行われます。早期の癌であっても高齢であったり、重大な持病をお持ちの場合や、すでに前立腺周囲に浸潤したり、遠隔転移のある進行癌の場合には、ホルモン治療が選択されます。根治をめざす治療にも多くの選択肢があるのが前立腺癌の大きな特徴です。手術は従来の開放手術に替わって、ロボット支援腹腔鏡手術が行われ、手術成績が向上しています。また、放射線治療にも従来の外照射以外に、IMRT(強度変調放射線治療)、粒子線治療、小線源治療など種々の治療方法があります。ただ、当然のことながら、それぞれの治療法には長所や欠点があり、治療法としての限界もあります。前立腺癌の状態(癌の広がりの状態や癌細胞の悪性度など)、年齢、持病の有無、治療に割ける時間、性機能の状態などを考慮しながら、各治療法について丁寧に説明させていただきます。前立腺癌の治療には選択肢が多いのですから、医者から押し付けられるのではなく、ご自分の病気や各治療法の利点・欠点などをよく理解したうえで、個人の価値観に基づいて、納得のいく治療を選択されるのがより良いといえます。当院では、納得のいく治療を選択していただけるように、十分な情報提供とアドバイスをさせていただきます。
手術・放射線治療後の経過観察もさせていただきます。ホルモン治療にも十分な経験を有しておりますので、お任せください。経過観察のためにCTなどの画像診断が必要な場合や、病院での治療が必要となった場合には、綿密な連携を取れる病院へ紹介させていただきます。
前立腺炎
前立腺に炎症をおこしている状態を前立腺炎といいますが、これには急性前立腺炎と慢性前立腺炎の2種類があり、それぞれ違う病気と言っても過言ではないほどに症状などは大きく異なります。
【急性前立腺炎】
多くは尿道から、細菌が前立腺の内部に侵入し激しい炎症を起こすもので、急性細菌性前立腺炎とも称されます。尿道カテーテル挿入などの泌尿器科的処置、性行為など細菌感染の契機が明らかな場合もありますが、何の前触れもなく発症することも少なくありません。症状は排尿痛、排尿困難感、頻尿、残尿感、会陰部痛(肛門と陰嚢の間の疼痛)、残便感と38℃を超える発熱です。検尿では白血球と細菌が多数みられることが多く、肛門からの触診で前立腺の腫脹、圧痛などがあれば診断できます。起炎菌は大腸菌が主に多いですが、緑膿菌やブドウ球菌などの細菌や時には淋菌やクラミジアが原因となる場合もあります。炎症の程度が比較的軽い場合には、内服の抗菌薬のみで治療できますが、炎症が激しい場合には注射抗生剤の点滴治療を行う必要があります。時には敗血症など生命を脅かす重症の感染症になることもあるため、糖尿病の持病のある方や、炎症所見が重症な症例では入院が必要なこともあります。
【慢性前立腺炎】
症状として典型的なものは、長時間の坐業が苦痛となるような会陰部痛ですが、下腹部、陰嚢、尿道の疼痛や不快感、ときには下肢の疼痛なども訴えられます。その他に頻尿、残尿感、排尿時不快感、排尿困難感、射精痛など多彩な症状がみられます。
慢性前立腺炎の診断は、肛門から手指を挿入して前立腺を強く触診(マッサージ)し、マッサージによって尿道から出てくる前立腺液(前立腺圧出液)を採取します。前立腺液がうまく採取できない場合にはマッサージ後の尿を検査します。前立腺圧出液あるいは前立腺マッサージ後の尿に白血球が有意に多く見られれば慢性前立腺炎と診断されます。また前立腺に圧痛がみられることも診断根拠となります。以上のような手順で診断されるのが典型的な慢性前立腺炎ですが、このような典型例だけではないのが、ある意味この疾患の厄介なところといえます。
中には会陰部痛や下腹部痛など典型的な慢性前立腺炎の症状があり、前立腺の強い圧痛もみられるのに、前立腺圧出液やマッサージ後尿に白血球がみられない症例もあります。このようなものも非炎症性の慢性骨盤疼痛症候群として慢性前立腺炎の一つの病型に分類されています。
また前立腺マッサージで診断される炎症の程度と自覚症状の程度がかならずしも関連しないのもこの病気の特徴です。明らかに前立腺圧出液中に多数の白血球が認められ、慢性前立腺炎を起こしていると考えられても自覚症状がない方もおられます。治療によって炎症所見が改善するとともに、自覚症状も改善していく症例、また炎症所見が再発すれば自覚症状も悪化するという症例はわかりやすいのですが、そのような症例ばかりではありません。したがって当院では、前立腺マッサージによる炎症状態の程度に重点を置くのではなく、患者さんの自覚症状の改善に主眼をおいて治療を進めるようにしています。
治療の方法としては、生活指導と薬物治療が中心で、症例によっては定期的な前立腺マッサージを行うこともあります。薬物治療では、長期間にわたって抗生剤や抗菌剤を処方される医療機関もあるようですが、当院では治療開始初期に2週間ほどは処方しますが、以後はなるべく使用しない方針です。慢性前立腺炎のうち、原因に細菌感染が関与している慢性細菌性前立腺炎は案外少なく、5-10%と考えられています。尿路感染症を繰り返す症例以外には、長期間の抗生剤・抗菌剤の連用は無意味と考えています。
症状を抑えるための処方として、セルニルトン、αブロッカー、漢方薬などを中心的に使用しています。慢性前立腺炎は直らない病気であるとか、炎症所見が取れるまで治療を続ければいけないとか、さまざまな誤解のもとに、過剰に悩んでおられる患者さんも多いようですが、慢性前立腺炎は決して怖い病気ではありません。症状がとれれば、炎症所見があったとしても気にする必要はありません。生活に気をつけて、気楽な気持ちで付き合うことが大切です。
男性更年期障害
男性更年期障害は、中年以降の男性において筋肉痛、疲労感、行動力の減退、のぼせ症状、睡眠障害、イライラ、不安感、憂うつ、性欲低下、勃起障害など、身体的、心理的、性機能的な要因による多様な症状を呈する症候です。このうちで加齢による男性ホルモンの低下が原因と考えられるのが、LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)です。男性更年期障害の原因にはLOH症候群のほか、うつ病、ストレス反応、老化があり、オーバーラップしていると考えられています。こうした男性更年期障害の診断は、主に問診と血液検査で行います。
男性ホルモンが低下している場合、すなわちLOH症候群の治療法としては、減少した男性ホルモンを注射で補充する「男性ホルモン補充療法」が一般的です。男性ホルモンに異常が見られない場合には、漢方薬治療や生活指導で症状の改善が期待できます。また、精神的なストレスが大きく影響しているような場合には、心療内科にご紹介することもあります。まずは一人で悩まずに、ご相談ください。
自覚症状をチェックしましょう
LOH症候群に対する問診票(AMSスコア)は男性更年期にみられる症状がどれくらいあてはまるかをみるためのものです。問診票で、あてはまるところにチェックをしてください。
17点~26点:なし
27点~36点:軽度
37点~49点:中等度
50点以上:重度
合計点数が27点以上の場合には、男性更年期障害(LOH症候群)が疑われますので、まずはご相談ください。
うつ病の治療を受けているが、症状が改善しないという場合にも、LOH症候群が合併していることがあります。男性ホルモンのチェックを受けてみることをご検討ください。
チェックした問診票を受診時にお持ちください。
男性ホルモン値を正確に診断するためには、午前11時までに採血する必要があります。
受診される際には、午前10時30分までに来院してください。
LOH症候群に対する問診票(AMSスコア)PDFダウンロード
性感染症(STD)
性感染症とは、性交によって感染する病気の総称です。性交だけでなく、オーラルセックスなどの広い範囲の性行為(粘膜接触)を含みます。性病の多くは、血液や精液、腟分泌液などの体液によって感染していきます。以前は性風俗店などにおける不衛生な性行為による感染が多かったのですが、最近は、不特定のセックスパートナーとの性交渉やセックスの多様化などにより、ごく一般に広まっています。 逆に、風邪のように喉が痛い(咽頭炎)などの症状で性感染症が発見されるケースも見られるようになり、病態は多様化しています。代表的な性感染症は、淋病、クラミジア感染症(非淋菌性尿道炎)、梅毒、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、毛ジラミ症、HIV感染症・エイズなどです。思い当たる節のある方や、パートナーが性感染症にかかっている方は、早めに専門医による検査、および適した治療を受けましょう。それが、早期発見・早期治療への大事な一歩です。なお、女性の性感染症については婦人科を受診してください。
主な症状と疾患
- 排尿時の痛み、尿道からの膿
- 尿道にかゆみなどの不快感がある
- 睾丸が腫れる、睾丸が痛む、前立腺が痛む
- 亀頭の赤みやかゆみ、白いカスが出る、包皮が腫れる
- 足の付け根にあるリンパ節の腫れ
- 性器周辺に細かい水疱やただれ、潰瘍ができて、かゆみや痛みがある
- 性器や肛門の周辺に痛みのともなわないイボができる
- のどのイガイガ感、痛み、痰がらみ
●クラミジア感染症
クラミジア感染症は性感染症の中でも多いと言われています。
感染してから発症するまでに2週間前後かかり、男女ともに症状が出ないこともあります。
症状としては、尿道のむず痒さや不快感、排尿痛などが挙げられます。
膿が尿道から出ることもあり、膿は透明でサラサラとしたものです。
淋病の症状と似ていると言われますが、淋病よりもクラミジアの方が症状は軽いといわれています。
●淋病
男性に多いと言われる性感染症で、女性に比べると症状が出やすくなっています。
男性の場合感染すると、性器に激しい痛みや多量の膿の分泌といった症状がみられます。
分泌される膿の色は白や黄色がかったような色で、粘り気があることが特徴です。
性行為だけではなく、淋病に感染した人の喉からオーラルセックスによって喉へ感染するケースも多くなっています。
●性器ヘルペス
ヘルペスに感染すると、1週間前後で性器に小さな水膨れが現れ、痒みや痛みを伴います。
太もものリンパ節に腫れが出るなどの症状も現れることもありますが、時間が経過すると症状が自然となくなります。
しかし、ヘルペスウイルスが消滅したわけではなく、体内の神経細胞に潜んでいるだけなのでストレスや過労などの刺激で再発します。
その際には最初に感染した時の症状よりも軽症であることが多いです。
●トリコモナス
近年日本では減少している性感染症ですが、中高年層でまれに見られるといわれています。
トリコモナスはトリコモナス原虫という虫が性器内に侵入することで炎症を起こす感染症ですが、男性の場合は排尿によって排出されることも少なくありません。
感染しても男性は症状が出にくく、軽い排尿痛など尿道炎に近い軽度の症状が現れる程度です。
●カンジダ
女性に比べると男性には感染が少ないとされる性感染症です。
本来常在菌として存在する真菌のカンジダが繁殖することで自己発症することもありますが、性行為でも感染します。
亀頭に菌が付着している状態で不衛生にすることで繁殖を起こして炎症するため、痒みやただれ、尿道炎といった症状を引き起こします。
白いカスのようなものが亀頭から出ることもあります。
包茎の方の場合は雑菌が溜まりやすいことから、包茎ではない場合に比べると感染リスクが高いといわれています。
●B型肝炎
感染力の強いウイルスなので、性行為だけではなく感染者の血液や分泌液との接触で感染することも少なくありません。
カミソリや歯ブラシの共用、タトゥーなどにおけるハリや注射の回し使いなどによる感染も考えられます。
ただし、輸血による感染はほとんど起こらないとされています。
B型肝炎に感染すれば、倦怠感や黄疸、吐き気などの症状が現れます。
尿が濃い黄色になることも特徴です。
ただし、感染者の半数以上は症状が出ないと言われているため、気付かないケースも少なくありません。
女性泌尿器科
診察の基本は、症状や既往歴、服薬状況などについて、時間をかけてお話を伺うということです。あとは尿検査のために採尿していただくのと、必要があれば膀胱や腎臓の超音波検査をするくらいです。おおまかな診察の流れは内科の場合とあまり大きな差はないと思います。十分な問診と必要な検査から、日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医としての経験をもとに診断を下し、診断内容や治療の方向性についてわかりやすく説明いたします。内診台での診察や膀胱鏡検査などは滅多にいたしません。もしどうしても必要性がある場合には、納得して検査を受けていただけるように十分に説明させていただきます。
膀胱炎
膀胱炎は思春期以降の女性に多い尿路感染症です。症状は排尿痛とくに排尿の後半や排尿後の疼痛、頻尿、残尿感、尿の混濁、血尿などです。発熱することは通常はありませんが、細菌が尿管を上昇していって腎臓にまで上がり、腎盂腎炎をおこした場合には高熱がでます。女性の場合には尿道が短いために、細菌が膀胱に侵入することは頻繁におこっているのですが、膀胱に少量の細菌が侵入したからといってかならず膀胱炎をおこす訳ではありません。普通はからだに抵抗力があり、また排尿によって細菌が排出されるという防御機構によって膀胱炎がおこりにくくなっています。しかし、過労気味で体力が低下しているときなどには膀胱炎にかかってしまいます。これが膀胱の風邪ともいわれる所以です。
過活動膀胱
頻尿(朝起床してから夜就寝するまでに8回以上トイレに行く)、夜間頻尿(就寝中にトイレに起きる)、尿意切迫感(急に尿がしたくなり、我慢が難しいことがある)、切迫性尿失禁(尿意切迫感があって尿が漏れてしまう)などの症状があれば、過活動膀胱という疾患の可能性があります。
男女ともにおこりうる症状ですが、男性の場合には前立腺肥大症や慢性前立腺炎に合併していることが大半です。これに対して女性の場合には、これといった原因がなくて過活動膀胱症状がおきることが大部分です。加齢や出産による骨盤底筋の脆弱化やホルモンアンバランスなどが関連するともいわれています。膀胱の神経が何らかの原因で過敏になり、膀胱の排尿筋が不随意に収縮をするために、強い尿意が生じるものです。寒冷ストレスもおおいに関係するため、冬に症状が強くなる傾向があります。夏場でも、冷え性の方はクーラーで冷えると症状がつよくなります。症状が強い場合にはトイレのことが気になって外出の妨げとなり、生活の質が落ちてしまうこともありますので、早めに日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医に相談されるといいでしょう。
【診断の流れ】
まずは詳しく症状をお伺いして、過活動膀胱の可能性があるのかを判断します。お話を聞いただけではすぐに判断がつかない場合には、排尿日誌をつけていただいて後日に持参していただきます。頻尿や尿意切迫感などの症状は、過活動膀胱以外にも膀胱炎や尿路結石などの疾患でも生じることがあります。また膀胱癌や間質性膀胱炎などの病気が隠れている場合もありますので、これらの病気を見逃さないようにチェックすることがまず重要です。
膀胱炎など他の疾患を除外するために、検尿はかならず受けていただきます。膀胱や腎臓の形態異常など、症状の原因となる疾患がないかをみるために、超音波検査をすることもあります。以上の手順でほとんどの場合には診断がつきます。
尿失禁
尿失禁のタイプには大きく分けると腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁とがあります。
腹圧性尿失禁は女性特有の尿失禁で、咳・くしゃみをしたとき、走ったときなど腹圧が上昇するような状況のときに少量の尿もれが生じるものです。出産や加齢による骨盤底の筋肉やじん帯のゆるみに伴って、膀胱や尿道が下がるのが主な原因です。軽症の場合には骨盤底筋をきたえる体操(骨盤底トレーニング)を続けることと薬物療法で改善します。重症例では手術が必要な場合もあります。
切迫性尿失禁は、尿意を感じてからトイレにいくまでにもれてしまうタイプの尿失禁です。急に強い尿意を感じ、尿意を我慢できずにあわててトイレへ行くような方は過活動膀胱という病気かもしれません。外出時にはかならずトイレの場所を確認しておくという方やトイレが気になって外出が億劫であるという方は悩まずに受診してください。
尿失禁があっても、恥ずかしいからと受診を躊躇していませんか、あるいは年齢のせいとあきらめておられませんか。受診していただくことで悩みが解消できる可能性があります、勇気を出して一度受診してください。
間質性膀胱炎
間質性膀胱炎とは、膀胱に原因不明の炎症がおこり、それによって頻尿、尿意亢進、尿意切迫感、膀胱や尿道の違和感や痛みなどの症状がでる病気です。通常の膀胱炎は大腸菌などの細菌感染によって引き起こされ、尿検査で白血球の増加などの異常がみられますが、間質性膀胱炎は細菌感染が原因ではないため、尿検査で異常をみとめないことが多いです。中年以上の女性に多く見られます。膀胱炎の診断で抗菌薬の治療を受けても頻尿や膀胱の疼痛が長期に続く場合、あるいは過活動膀胱の診断で治療を受けていても頻尿症状が改善しない場合には、間質性膀胱炎が疑われますのでご相談ください。
【診断】
膀胱に関連する慢性の骨盤部の疼痛,圧迫感または不快感があり,尿意亢進や頻尿などの症状が慢性的に続いている場合に間質性膀胱炎が疑われます。とくに、尿が貯まるってくると膀胱の痛みが出現し、排尿後に疼痛は軽減・消失する場合に強く疑われます。1回の排尿でいつも少量しか尿がでないのも特徴です。
診断には膀胱鏡検査が必要です。膀胱に水を入れて検査しますが、入れていくと痛みが強くなり、膀胱粘膜に充血が生じ、水を抜いていくと粘膜から出血するのが特徴です。ハンナ潰瘍と呼ばれる、発赤を伴う粘膜の亀裂・びらん所見を認めるタイプの間質性膀胱炎(ハンナ型)は難病指定されています。
【治療】
残念ながら特効薬といえるほど有効な薬剤はありませんが、内服薬治療と症状を悪化させる食品の摂取を避ける指導で自覚症状はかなり軽快します。
膀胱容量が低下し、著しい頻尿、膀胱痛がある重症例では、膀胱水圧拡張術という治療が有効です。麻酔下に膀胱に多量の生理食塩水を注入して膀胱を拡張させる治療で、連携病院へ紹介して受けていただくことができます。
また最近になって、ジムソという薬物を膀胱内に注入する治療が間質性膀胱炎(ハンナ型)に対して保険適応になりました。これは当院でも実施できますが、かなり有効性が期待できる治療です。
小児泌尿器科
夜尿症(おねしょ)
6~7歳(小学校入学後)を過ぎてもおねしょをすることを夜尿症といいます。夜尿症の多くは自然軽快していくことが多く、また夜尿が身体に悪影響を及ぼすものでないことから、放置されることが多い病気です。しかし、夜尿症のため心理面、社会面、生活面にあたえる影響を考え、生活指導や薬による治療などの対策をとったほうが良いとされています。なるべく早く治療を行って、少しでも早く治してあげることが必要ではないかと考えています。
【検査】
尿検査・超音波検査・問診など
【治療】
飲み薬(膀胱をリラックスさせる・尿道のしまりをよくする・夜だけ尿を作る量を減らすものなど)・アラーム療法(尿漏れのときにアラームで知らせる方法です)・行動療法など
包皮炎・包茎
赤ちゃんや子どもの包茎自体は必ずしも病気ではありません。新生児はほぼ真性包茎で成長にあわせて減っていきますが、大人になるまで真性包茎の場合には手術などの治療が必要になってきます。包茎の影響で細菌がたまりやすくなり起こってしまう包皮炎は、包皮や全体に赤く腫れ、触らなくても痛かったりおしっこの時に痛みを感じる病気です。包皮炎を繰り返し起こす場合は、包茎治療が早期に必要な場合もあります。
【症状】
陰茎が赤く腫れる・痛みがある
【検査】
視診
【治療】
塗り薬・飲み薬(炎症を抑える)
停留精巣・遊走精巣
いんのう(袋)に精巣(睾丸)が入っていない先天的な異常で、新生児の約1%にみられ、未熟児では割合が高くなります。それに対し遊走精巣は精巣が体の中といんのうを行き来してしまう状態で、経過観察でよい場合が多いです。しかし、精巣が通常より高い温度にさらされ、赤ちゃんのうちに治療をしなければ不妊になることがあります。オムツを替える時などに親御さんが気づくことが多い病気です
【症状】
いんのうの中に精巣が触れない状態
【検査】
触診・超音波検査
【治療】
経過観察(成長と共に自然に治ることも多い)・手術(自然に治らない場合)
お役立ちリンク集
一般的な病気(泌尿器科疾患も含む)について調べたいとき
万有製薬株式会社の提供サイトで、広く利用されている医学書のオンライン版が閲覧できます。病気について調べたいときに役立ちます。
頻尿・尿失禁など排尿の症状について知りたいとき
メディカルノートにて、過活動膀胱などトイレの悩みに関するさまざまな情報を発信いたします。
トイレが近い、尿が漏れるといった尿のお悩みにお困りの方は、ぜひご確認ください。
チャームナップ提供の尿もれに関する幅広い情報が満載の大変優れたサイトです。尿もれに 悩んでおられる女性は是非ともご覧ください。悩みの解消に向けての一歩を踏み出す勇気がでるかも知れません。
おねしょ卒業!プロジェクトでは、おねしょに悩む子どもと保護者向けサイトと、診断と治 療に携わる医療関係者向けサイトです。そこでは、チェックリスト、おねしょ対策や経験話を掲載、診断・治療のための医療情報の提供などを行ってます。また、「おねしょと夜尿症との違いは?」などの質問に答えるQ&Aコーナーや、おねしょ関連の解説動画を確認し、お近くでおねしょの相談ができる病院やクリニックを検索することができます。
癌についての情報を詳しく知りたいとき
米国国立がん研究所(NCI)が発信するがん情報PDQ○Rの日本語版が見られます。あらゆる種類のがんについて米国における標準治療法が網羅されており、医療関係者も常時参考にしているサイトです。ご自身やご家族の癌についての情報が知りたい場合には是非参考になさってください。
国立がんセンターが発信するがん関連情報です。各科領域の各種がんの診断、治療法などの解説が参考になります。
クスリや医療機器についての情報を知りたいとき
添付文書情報など医薬品や医療器械に関する情報が得られます。
服用しているくすりの働きや副作用などを確認するのに大いに役立ちます。
ED(勃起障害)、よくある男性の病気についての情報を知りたいとき
日本イーライリリー株式会社提供のサイトでED(勃起障害)についてわかりやすく解説されています。
EDセルフチェックの質問結果を印刷して持参すれば、スムーズに受診することができます。
日本メンズヘルス医学会は男性ホルモンが関係する疾患(男性更年期、LOH症候群、男性性機能低下症など)を臨床研究し、男性の健康医学の確立・発展に貢献しています。
泌尿器科関係団体
兵庫県内で開業あるいは病院に勤務する泌尿器科を専門とする医師の団体で、兵庫県医師会の分科医会の一つです。市民公開による、泌尿器科の症状や予防のほか、兵庫県内の泌尿器科の病院・医院を地域別に紹介しています。